相続土地国庫帰属制度③

相続土地国庫帰属制度とは、相続した利用しない土地を手放すことができる制度で、令和5年4月27日からスタートします。相続登記の義務化が令和6年4月1日からスタートしますが、手放したい土地について、相続登記の義務のみを負担させるのではなく、手放す選択肢も与えますよ、というものになります。

さて前回は、相続土地を国庫に帰属させるには、手続きと費用が必要になることを説明しました。今回は、帰属させることができない土地について説明します。

帰属ができない土地は次のような場合です。

①建物の存する土地

②担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地

③通路その他の他人による使用が予定されている土地として、次のいずれかの土地

 ・現に通路の用に供されている土地

 ・墓地内の土地

 ・境内地

 ・現に水道用地、用悪水路、ため池の用に供されている土地

④土壌汚染対策法第2条第1項に規定する特定有害物質により汚染されている土地

⑤境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地

⑥崖(勾配が30度以上であり、かつ、高さが5メートル以上のもの)がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要するもの

⑦土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地

⑧除去しなければ土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存する土地

⑨隣接する土地の所有者その他の者との争訟によらなければ通常の管理又は処分をすることができない次の土地

 ・(a)又は(b)に該当する土地のうち、現に民法上の通行権利が妨げられている土地

  (a)他の土地に囲まれて公道に通じない土地

  (b)池沼・河川・水路・海を通らなければ公道に出ることができない土地、又は崖があって土地と公道とに著しい高低差がある土地

 ・所有権に基づく使用又は収益が現に妨害されている土地(軽微なものを除く。)

⑩そのほか、通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する以下の土地

 ・災害の危険により、土地や土地周辺の人や財産に被害を生じさせるおそれを防止するため、措置が必要な土地

 ・土地に生息する動物により、土地や土地周辺の人、農産物、樹木に被害を生じさせる土地

 ・適切な造林、間伐、保育が実施されておらず、国による整備が必要な森林

 ・国庫に帰属した後、国が管理に要する費用以外の金銭債務を法令の規定に基づき負担する土地

 ・国庫に帰属したことに伴い、法令の規定に基づき承認申請者の金銭債務を国が承継する土地

以上です。結構いろいろなケースを想定して、国が引き取らない土地というものを法定しています。なお、上記事情があるのに、事実を偽って不正な手段により国庫帰属の承認を受けた場合、後日不正が判明した場合はその承認は取り消されます。(納付した負担金も還付されません。)

高知県高知市にて相続、相続登記、不動産登記、遺言、成年後見、など
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